それでも戦略コンサル系ロジカルシンキングには学ぶ価値がある

いくつか戦略コンサル系のロジカルシンキングについて、やや批判的な目線で紹介しましたが、決して悪いものとは考えていません。むしろ非常に有用なもので習得すべきものと考えています。

トゥールミンの議論モデルがグローバルに使われていると書きましたが、戦略コンサル系のロジカルシンキングの手法も、グローバルに使えるものです。このことは、元々が国際的なコンサルティング会社のテクニックであるということから明らかです。一般的でかつ世界共通に経営者に理解してもらうことのできる、優れた枠組みであると言えます。ただ、グローバルには、それを「ロジカルシンキング」あるいは「logical thinking」とは呼んではいないだろうという話です。

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(※このイメージはアイキャッチのためのもので本文とは関係ありません)

アカデミック目線から疑問が生じるのは、説明が良くないためです。説明が良くないといっても、そもそも経営企画の範囲で通用すれば良いはずの説明に対して、本来は対象外の技術者・研究者の視点からはわかりにくいと言っているわけで、言いがかりみたいなものです。おそらく、ここまで広く展開されることになるのは想定外だっただろうと思います。

日本で急速に広まったのには理由があります。登場した時代は、ちょうど、それまで高機能・高品質を最重視した製品開発で成功してきた日本企業が壁にあたっていた頃です。品質はほどほどでも、ビジネス戦略で展開に成功する米国の流儀を見習うべきではないかという点から、戦略コンサルティングの手法への関心が高まっていました。そこに、戦略コンサルタントのテクニックの一部がロジカルシンキングという形で公開されたのです。

内容も画期的なものでした。KJ法に代表される、従来の日本の発想法と構造化が、ボトムアップであったのに対して、その反対のアンチテーゼとなるトップダウンで行う情報構造化の手法がわかりやすく示されたからです。その後、経営企画の領域で確かに有用であることが、事例としても蓄積され、多くの人が知るところとなりました。

トップダウンでの企画の策定と課題解決の有用性と重要性は20年近く経った現在でも変わっていません。そして、研究の企画やシステムの企画あるいはプロジェクトの管理においても、有用であることは間違いありません。それゆえに、研究開発やアカデミックな視点から見ても受け入れる説明をしていくことが重要だと考えているのです。