なぜ戦略コンサル系ロジカルシンキングは教育現場で無視されるのか

戦略コンサル系ロジカルシンキングについて、当初、疑問に思ったところといった話をいくつか書きましたが、戦略コンサル系ロジカルシンキングは、正直なところ、アカデミックな立場から見ると、無視したくなる種類のものだと思います。私自身、ロジカルシンキングと呼ぶことには、いまだに抵抗があります。

科学的論証のモデルであり、グローバルにも通用する議論モデル系のもののほうが、アカデミックなリテラシーを持っている人には、しっくりくると思います。

その一方で、戦略コンサル系はもっとも普及しており、もはや、(日本の)ビジネス現場ではロジカルシンキングデファクトになっています。無視し続けたところで、あとあと学術研究のビジネス展開の際に直面するだけのことです。

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(※このイメージはアイキャッチのためのもので本文とは関係ありません)

無視したくなる気持ちの理由は次のようなところにあります。

(1) 文脈依存性が高い
文脈に依存した説明が多く、本を読んでいる間は納得感があっても、一部取り出すと納得感がなくなる。主ターゲットである経営のドメインから離れると、さらに納得感が薄れる。

(2) 他の流派との整合性が薄い
数理論理学系や議論モデル系の考え方との関係が不明。論理について、誤解があるように思われることすらある。

(3) 雑多なツールの総称
MECESo What?/Why So、フレームワーク、ピラミッドストラクチャ、ロジックツリー、といった雑多なキーワードやツールが、書籍ごと、著者ごとによってバラバラな定義・内容で説明されている。

これに対して、
(1) 文脈依存性を低くした説明をする
(2) 他の流派、特に議論モデル系との整合をとる
(3) 一貫した説明と枠組みでツールを整理し直す

という具合に整備していけば、少なくとも議論モデル系の人たちにも受け入れられるロジカルシンキングができるのではないか、と考えたわけです。

ウルシステムズ、ピースミール・テクノロジー、その他様々なところでの研修をしながら組み立ててきたのが、MALT (Modeling Approach Logical Thinking) です。ずっと試行錯誤でしたが、一昨年から大学での授業をする中で、一応の完成形ができたので、いろいろ議論のあるところについて、このブログやアカデミックな場で提案・議論できればと思っています。