諸々の事情で、どうにもサイトの更新が滞ってしまいがちなのですが、この度、金曜日の夜に一週間を振り返る感じで、更新したら良いのではないかと思い立ち、本日から始めることにします。いつまで続くかわかりませんが、お付き合いいただけましたら幸いです。続けられるところまで。
最初の話題ですが、論証図、あるいは、反転論証図、より正確には、簡易型上下反転論証図について書きたいと思います。
こちらロジカルシンキングを説明する上での、図表上のブレークスルーではないかと本人的には思っています。
もともと私は、数学的な論理学、トゥールミンモデル的な議論モデル、ピラミッド原則をベースとするコンサル系ロジカルシンキングの3種類の論理思考をシームレスにつなげることを目標のひとつとしていました。
その一環で、実は昨年、論理思考とロジカルシンキングについての書籍のサーベイを行いまして、おおよそ100冊程度について整理して、論文を書いていたのですが、いろいろ新しい気付きがありました。その一つが論証図です。
論証図は野矢茂樹先生が、「論理トレーニング」(産業図書 1997) で紹介されている、日本語の論理の構造を記述する図表の一つです。以前から知ってはいましたが、福澤一吉先生が「論理的思考最高の教科書」(SBクリエイティブ 2017)などの著書で、トゥールミンモデルに近い形式で説明に使われているのを見ているうちに、少し手を加えれば、コンサル系ロジカルシンキングに違和感なくつなげられることに気づいたのです。
私が提案したいのは、以下の二箇所に手を加えた、簡易型上下反転論証図です。
(1)通常の論証図は根拠が上で結論が下です。これを根拠を下、結論を上にして使います。
(2)結合論証と合流論証の区別をなくし、両方の特徴を持つ簡易型の図表現を用います。
たった、これだけです。これだけで、ピラミッド構造まで、随分見通しが良く説明できることがわかってきました。私の研修や授業では、この図表を使った説明に切り替え始めています。正式名称は長いので、反転論証図、あるいは、単に論証図と呼んでいます。なかなか使い勝手が良いので、よろしければ、皆様も是非お使い下さい。
手を加えた理由ですが、詳しくは別の機会に説明しますが、ここでは簡単に触れておきます。
上下反転させたのは、ピラミッド原則をベースとするロジカルシンキングでは、伝統的に結論が上だからです。学術的なセンスだと論理に上とか下とかどうでもいいじゃないかと感じられる方、多数いらっしゃると想像します。お気持ちは私もよくわかります。が、ビジネス現場では大きな違いなのです。
結合論証と合流論証は、論理のANDとORを表現することができるので、数学的な思考をする人には基本中の基本だということは、私にも理解できます。が、ビジネス現場で使われるロジックツリーで、ANDとORを区別して作られたものを、寡聞にして見たことがありません。経営層からすれば、配下の誰かが気にしてくれればよい、細かい話だからです。