昨年を振り返って
昨年、2012年は、弊社ピースミール・テクノロジーにとって、大きく二つの活動の成果を通じて、社会に対する弊社の存在意義を世に問う年でありました。
ひとつは昨年7月に、企業以来2年半にわたってご支援をさせていただいてきた、札幌市の新基幹システムでのAIST包括フレームワーク導入とそれに基づくシステム開発において、最初のシステム群のリリースを成功裏に完了できたことです。この開発については12月20日の日経コンピュータ誌に取り上げていただきました。
もうひとつは、11月末にAIST包括フレームワークの特徴とも言える開発プロセスを使って、企業システム開発の上流工程から下流工程までの一連の流れを解説した書籍を出版したことです。年末にかけて、日経SYSTEMSをはじめ複数のメディアで取り上げていただきました。この出版を契機として立ち上げた教育事業の紹介をするセミナーも12月に行い多くの皆様に関心を持っていただくことができました。
どちらの成果も、メンバーの献身的な努力とパートナーの皆様のご支援、そして何より高い意識を持つお客様なくしては、出すことができないものでした。関係各位にはこの場を借りて、御礼申し上げます。
新年に向けて
さて2013年を迎えて、世の中では政権が交代し、株価も上がりこれからの景気の好転への期待が高まっています。こうなるとSI業界としても新しいシステム投資の動きが活発になってくることが期待できます。ただ、そうなったとしても手放しで喜べる話になるかどうかはわからないと私は思っています。むしろ、必要なシステム実現を担うのに十分な人材が不足しているという現実に直面するのではないかと思っています。
SI業界では長期にわたる不況下でのシステム開発コスト圧縮に対応するべく、開発の上流工程と下流工程の分業化を進め、開発の主要部をオフショアを含む請負先に依存してきました。その結果、システム全体を見通して、根幹部分を設計できるような高度IT人材が十分に育たないままに来ています。
全体観を持った基幹技術者の不足は、不正確な見積による納期の遅延、技術不足による品質の劣化を引き起こします。システム開発力の不足によって、日本企業の成長にブレーキをかけるようなことがあってはならないことだと思います。
これらの課題を解決するためには、発注側企業のより積極的な開発への関与と、高度IT人材の育成が不可欠になります。これらはまさに弊社のサービスでご支援しようとしていることに他なりませんが、一方で、弊社のような小さな会社一社だけで解決できるような大きさの課題ではありません。同じ問題意識を持つ個人や会社と連携しながら、業界全体を見据えた視野で新しいシステム開発のあり方を創りだすことが求められているのではないでしょうか。
こうした想いを持って2013年を迎えるにあたり、弊社のホームページのトップ画像を刷新しました。
このイメージは弊社が提唱する利用者主導のあり方を象徴するグラスボックス化というコンセプトを中心にして、システムの発注側(USERS)と受注側(DEVELOPERS)が新しい関係性を持ってつながっていくことを表現しています。今年は大きな社会課題の解決に向けて、昨年作った基礎の上に、様々な立場の皆さんとの関係性を培っていく年にしたいと思います。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2013年1月 林 浩一