12月4日に開催された情報処理学会のドキュメントコミュニケーション研究会から帰ってくると、「読解力続落」という新聞の見出しが目に飛び込んできました。
私自身は普段は新聞を読むことはないのですが、気になる記事なので読んでみました。
解説記事を読むと、調査方法がデジタル読解力になった影響が大きいと書いてあるのですが、なぜそんなことが言えるんだろうか? 変わったことが事実でもそれが原因とは限らないよなあ? 中高年じゃあるまいし、高校1年生ならデジタルネイティブじゃないの? と疑問だらけになってきたので、ネットを検索すると妹尾昌俊さんの記事が載っていました。
データに基づいて主張する冷静な記事で、私と同様の疑問を感じた皆様は、ぜひ一読をおすすめします。
私は、13位アメリカ(505点)、14位イギリス(504点)、15位日本(504点)というデータを見た時点で、騒ぐ理由がたいしてあるとは思えなくなってしまいました。
この記事中には、読解力評価に使う問題例へのリンクもあったので、早速、取り組んでみました。間違ったらどうしようかと、ドキドキしながらやりましたが、無事全問正解。で、感想ですが、読解力というより論理力を問う問題だと思いました。だとすると、できなくても不思議はありません。
私の授業や研修では、結論 (主張) と根拠の関係を問う短文の演習を解いてもらうのですが、ごく短い例文でも、結論 (主張) と根拠の関係を間違う受講生が一定数います。学生でも社会人でもです。このことは、次の記事にも紹介しています。
間違った人たちに聞いてみると、そんな捉え方で考えたことがなかったという答えが返ってきます。つまり、主張をするための基本ルールを教わっていない。よって、そのためにチェックする勘所が分かっていないので間違う、というのが私の今の仮説です。
これは、順序よく教えていけば確実にできるようになります。実際、大学院生向けの授業では、論理的な関係を誤る受講生は授業の進行とともに減っていきます。
来年から、複数の学校で、若年層 (大学1年生、専門学校生)向けのロジカルシンキングの授業を行う予定にしていますが、論理構造の理解を高めることで、例示されているような文章の「読解力」の向上ができることを一つの目標にしてみようと思います。
ということで、「読解力」に「論理力」で勝負!