文書品質(DQ)サークルでスキルが勝手に上がる回路を作る

今年ロジカルシンキングに関して力を入れてきたことは、学術的認知の向上の他にもうひとつあります。それは、組織内での文書品質の向上を自律的に行うための仕組みの考案です。

多くの組織で感じられていることと思いますが、スタッフのドキュメント作成スキルがなかなか伸ばせないという課題が年々深刻になっています。レビューを行ってもなかなか上がりません。そもそもドキュメント品質を評価して、それを高められるスキルを持つレビューワがいないのが現実です。

新卒学生の日本語力の差が大きくなり、日本語が母国語でない外国人も増えてくる中、先輩や上司が十分なレビュースキルを持っていることは期待できません。品質管理部門を設置して、顧客に提出する資料をいちいちチェックなどということができる企業はほんの一握りではないでしょうか。

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どうすれば、レビューワや専門部門なしに各自のスキルを効率的に引き上げられるのか。私もこの問題にはずっと頭を悩ませてきました。ところが、最近になり東京工科大学での授業で行っているグループ課題での経験がヒントになって、ひとつの着想を得ました。

それがDQ(文書品質:Document Quality)サークルです。簡単に説明すると、相互に文書のレビューを行うための、3~6名程度のグループを作るというものです。ポイントは、論理に関する構造だけに焦点を絞ることで、サークル内での品質評価、議論、書き直しを可能にするところにあります。その結果、放っておいても勝手にスキル向上できるような、自律的な回路を組織内に作ることが可能になります。

現在、東京工科大学の授業以外では、私が代表しているピールミール・テクノロジー内で、このアプローチに基づくトレーニングを行っており、成果が出てきています。来年は他の組織体での適用トライアルを進めていきたいと考えています。