ピラミッド型開発からチェーン型開発へ(0) ?連載始めますけどいいですか?

突然で少々恐縮だが、このブログでこれから10回程度に分けて、「ピラミッド型開発からチェーン型開発へ」というタイトルで試論を展開してみたいと思う。なお、このブログの他の記事は「です・ます」調だが、この手の議論はなぜか「である」調のほうがテンポが良いので、ちょっと偉そうな感じになるが、ご容赦いただきたい。

読者としてはシステム開発に従事している方だけでなく、ユーザ企業でシステム開発のやり方に疑問や不満を持っている経営者の皆様を想定している。システム開発の現場寄りの方だと、少し回りくどい印象を受けるかもしれない。

ITゼネコンの次に来るもの

連載のテーマは、しばしば「ITゼネコン」と表現される、多重請負構造によるシステム開発の形態の次にどんな形態が主流となるのか、という話だ。

私がピースミール・テクノロジー株式会社を立ち上げてから5年以上が過ぎた。設立当初より、利用者主導の開発というコンセプトを掲げて活動を進めてきたが、さまざまな試行錯誤と議論の中から、より一般的なシステム開発自体のあり方についての方向性が見えてきたように感じている。

ITゼネコンという呼び方は、否定的な響きがあるため、私としては使うことに抵抗がある。そこで本連載ではピラミッド型と呼ぶことにする。実際、否定するつもりもない。かつて、今ほどシステム開発が多様なものでなかった頃には、合理性も必然性もあった形態であるし、現在でもある規模以上の開発になるとそれ以外の選択肢はないと思っている。

P2C_highway

第3の現実解を探る

昨今はピラミッド型の開発の進め方について、批判する意見をよく聞くようになった。その理由は様々だが、では、ピラミッド型にとって代わるモデルが提示されているのか、というとそうでもないように見える。ユーザ企業が内製するべきという議論もあるが、それは現実的には無理なところが多いのではないだろうか。

本連載では、ピラミッド型でも内製型でもない第3のモデルとしてチェーン型を提案する。ただし、完全に置き換えるというよりもピラミッド型が不適合を起こしている領域に適用するという位置付けだ。

チェーン型開発のコンセプトはまだ荒削りで、議論が不十分なところも多い。ひょっとすると他で広く知られているのかもしれないし、より適切な名前もあるのかもしれない。しかし、それでも小さなコミュニティでの議論にとどめるよりも、広く知見を集めることで、より有意義な形に整理ができるのではないかと考えた次第である。

ではその「チェーン型開発」とは一体何なのかという話は、来週に予定している第1回から順を追って説明していきたい。少し物足りないかもしれないが、今回は第0回として、まずは告知までとさせていただきたい。

謝辞

なお、本コンセプトの構想にあたっては、私も参加させていただいている「実践的ソフトウェア教育コンソーシアム(P-Sec) ソフトウェア社会の将来像研究会」の皆様との議論からインスパイアされたところが大きいことを謝意と共に記す。

主要な変更の記録

  • 2015年5月11日:連載タイトルを「ピラミッド型SIからチェーン型SIへ」から「ピラミッド型開発からチェーン型開発へ」に変更することになったため、公開時点のものに対しこの変更に伴うタイトルと本文の修正を加えた。
  • 2015年5月13日: 副題「?短期連載始めます」を「?連載始めますけどいいですか?」に変更。連載全体を通して副題を「?」で終わらせることにしたため。