結論の妥当性が変わるのはコンテキストのせいだ

今週はいろいろ重なったため、更新が滞ってしまいましたが、今日から数回にわたって、3層の論理モデルの使い方を紹介していきます。まず、コンテキストが結論の妥当性を変えるというところからはじめます。

たとえば、車を運転していているところを想像してください。助手席に座っている人に、交差点にさしかかるあたりで、「信号がもうすぐ赤になりますよ」と、注意を促されたとき、あなたならどうしますか。

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うっかりしていて気づいていなかったけれど、特に急いでいないなら安全重視で、交差点の前で止まれるように減速するのではないでしょうか。しかし、急いでいるのであれば時間重視で、赤になる前に、交差点を渡りきれるように加速するということもあるかもしれません。

このことを3層論理構造で表してみます。最初の構造では、結論は「加速するべき」ということで、その明示されている根拠は「信号が赤になる」ということです。明示はされていませんが「急いでいる」というのがコンテキストとして重要になります。

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では、減速する方はどうなるでしょうか。根拠は「信号が赤になる」というので同じですが、結論が「加速するべき」と反対になっています。これはコンテキストが「急いでいる」だからです。

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この例では、「信号が赤になりそう」という根拠に対して、「減速する」と「加速する」の二つの正反対の結論が出されています。つまり、コンテキストが結論の妥当性を変えているわけです。

「何を当たり前のことを!」と思われるかもしれませんが、その当たり前のことを明確に違いとして表現できることが大切なのです。この続きは、また、多分、明日。